2016年12月4日日曜日

林哲夫作品展ほか


ヨソサマのイベント

 林哲夫作品展 ヴァン・ゴッホの道

1210日(土)~21日(水) ギャラリー島田

1017時より『花森安治装釘集成』完成記念トーク 
入場無料ですが予約してください。

 



 口笛文庫とトンカ書店の冬の古本市

1215日(木)~18日(日) BAL gallery33

 
 


(平野)
平野が「神戸新聞」124日読書欄に寄稿しました。
安水稔和『神戸 わが街』(神戸新聞総合出版センター)

 


同欄では井戸書店・森さんが『さかなクンの一魚一会』(講談社)を紹介、東京堂書店の人文担当・三浦さんが登場。

2016年12月1日木曜日

わたしたちの街


 わたしたちの街

 1984年、安水稔和は詩友君本昌久とともに『神戸の詩人たち 戦後詩集成』(神戸新聞出版センター)をまとめた。私は本書ではじめて安水を知った。
 

「わたしたちの街」(1974年発表)

《わたしたちの街では、道を歩くということは、坂をのぼること・坂をくだることを意味します。》

 略、歩いていると、いつのまにか登ったり下ったり、街を見下ろしていたり見上げていたり。うっかりすると街も空も、自分の体も傾き、海まで転げ落ちそうになる。だから、わたしたちはいろんなものを手に持ち、ポケットに入れる。物騒なものもある。時には「心に鉛」も。

《なにしろ、油断ならぬ街です。さて、いこか、もどろか、どちらへ曲がろか。》

 本書には48詩人、256篇が収められている。モダニズムの旗手、超現実主義者、民衆詩人、戦争中の神戸詩人事件に連座した人たちもいる
 神戸には詩人が多いのか? 
 安水はお国自慢的風土論を述べたりしない。
「たまたま人間がいる」と答える。芸術家も多い。
 明るくおしゃれで異国情緒があって……という〈神戸らしさ〉は一面でしかない。

《……〈ひとつの神戸〉があるのではなく〈いくつもの神戸〉があるのであって、〈ひとつの〉ではなくて〈いくつもの〉にこそ神戸の未来の可能性があるのではないか。不況・貧困・差別、水害・戦災・震災、なくならない負の連鎖にもかかわらずわが街神戸が絶えることなく生の鼓動を続けるのは〈いくつもの神戸〉だからである。》(『神戸 わが街』 神戸新聞総合出版センター)

(平野)

2016年11月29日火曜日

神戸 わが街


 安水稔和 『神戸 わが街 ここがロドスだ ここで踊ろう』 神戸新聞総合出版センター 2300円+税

 安水は1931年神戸市生まれ、詩人。本書は安水の神戸原風景と現風景を語る詩とエッセイをまとめる。
 安水は須磨の在原行平伝説(京を追われた貴族と姉妹のロマンス)が町名に残る町に生まれた。海パン一丁で海に走った。阪神大水害や大空襲の悲惨を体験した。疎開から戻り、長田に住み、六甲で学び、青谷で教壇に立ち、詩作を続けてきた。
 阪神淡路大震災直後、炎に包まれた長田のまちを見つめ、
「生きて愛するわたしたちのまち。/生きて愛するわたしたち/ここを離れず。」
 と、うたった。目の前で燃えるまちの姿を原風景として抱えよう、と。
 生粋の神戸っ子だが、神戸自慢を展開するわけではない。多様な顔を持つこの街を愛している、ここをロドス(理想郷)と思い、ここで踊ってきた(詩作)。同時に、ここから何度も旅に出て、その旅を詩にした。古今の詩人や漂流者の足跡を訪ね、その評伝をラジオドラマにした。「ここ」が「そこ」で、「そこ」が「ここ」。この人生は「仮の宿」だと思う。その「仮の宿」を詩に書き、エッセイに綴る。
 表紙の絵は石阪春生。

(平野)
 わたしのまち、原風景を思い起こしてみる。路地の奥でチャンバラ一人遊び、みなと祭の懐古行列、元町・三宮本屋めぐり……。現風景は本屋のない寂しい元町通か。

〈海文堂100年誌刊行委員会〉が『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』(苦楽堂)番外編を企画中。「小林店長アーカイブ(仮)」公開に向けて始動。詳細はおいおいお知らせする。

2016年11月27日日曜日

花森安治装釘集成

 『花森安治装釘集成』 
編者 唐澤平吉 南陀楼綾繁 林哲夫  みずのわ出版 
 8000円+税


 花森(19111978年)は暮しの手帖社初代編集長、同社の出版物以外にも多くの装釘を手がけた。
 唐澤は1948年愛知県生まれ。72年暮しの手帖社入社、花森のもとで編集。8年在職後、病気のため退職。信州伊那谷在住。2010年、花森生誕100年を前にブログ「花森安治の装釘世界」を開設した。著書に『花森安治の編集室』(1997年晶文社刊、2016年改題して『花森安治編集室「暮しの手帖」ですごした日々』文春文庫)。花森装釘本蒐集はこの十数年ほど。花森の家族、南陀楼ら古書蒐集者、暮しの手帖社同僚の協力があった。
 花森は神戸市葺合区熊内町生まれ、雲中小学校から神戸三中。本書出版元が神戸に縁ある〈みずのわ出版〉でうれしい。本書は6年がかりの作業。B5判並製、282ページ、カラー図版1000点。編者の皆さんはじめ関係者に敬意を表したい。


目次
花森安治装釘集成おぼえがき  唐澤平吉
人の縁から生まれた装釘の仕事  南陀楼綾繁
自著・自装本
単行本
雑誌
暮しの手帖研究室写真  河津一哉
掲載書目
蒐集のきっかけは無知から  唐澤平吉
花森のことば
装釘 林哲夫

「装釘と著作権」〈花森のことば〉より
《装釘の仕事をはじめてまだいくらにもならないが、思っていた以上に、この装釘という仕事が、ひどい取扱いをうけているのに驚いている。(略、出版者や編集者も装釘の仕事をわかっていない、書体や構図に註文をつけ描き直しさせ期限を急ぐがせる)
 ひらき直っていえば、一冊の本というものは、著者と装釘者と印刷者の共同作品である。それなのに、装釘だけが、何か出版者の下請け仕事みたいに考えられがちなのは、合点がゆかない。(略)》
 装釘にも著作権を認めよと主張した。
(平野)
 林哲夫さんの完成記念トーク開催。1210日(土)ギャラリー島田。この日から林さんの個展もはじまる。
http://sumus2013.exblog.jp/

 みずのわ社主は本年末をもって出版社を廃業すると決めていたが、撤回した。同社の〈刊行案内〉(2016.11)にその旨告知している
……過日、出版界の良心とされてきた某版元と業務上の交渉をした折、あまりの堕落ぶりと志の低さに怒りを通り越して呆れ果て、こんな奴らに任せてはおけぬと思い直しました。(略)》
 
「朝日新聞」1127日、鷲田清一〈折々のことば 590〉は北田博充『これからの本屋』(書肆汽水域)から。


2016年11月23日水曜日

秋なれば


もう秋とは言えない11月終盤。読書の秋が短い
「朝日新聞」21日(月)の朝日歌壇・俳壇には本を題材にした歌がちらほら。

《秋なれば本の栞にこと欠かず橅、柿、桜、檀、鎌柄》 長野県千葉さん
 ぶな、かき、さくら、まゆみ、かまつか。

《古書店の本と本との隙間から出入りをする一匹の猫》 長崎市牧野さん
 神戸灘区の古本屋さんにも立派な看板猫がいる。

《小鳥来る老女四人の読書会》 幸手市藤井さん
 ピーチクパーチク? 失礼。幸手(さって)市。地理に疎く、はじめて目にした地名。

 他にも、図書室、辞典、ビッグイシューなど。
 私もマネして。

 落ち葉踏み本屋探してまち歩き  よーまる
 本ではなくて本屋を探すおっちゃん。

ヨソサマのイベント
1126日(土)~127日(水) ギャラリー島田にて
 石井一男展  

 


 須飼秀和展

 

 この時期恒例になった二人の展覧会開催。

*ご注意 〈石井一男展〉112627日は10時より入場整理券を配布。詳しくはこちらをご覧ください。


 (平野)

2016年11月19日土曜日

ほんまに&横溝正史


 ほんまに&横溝正史
「神戸新聞」1113日読書欄で『ほんまに』第18を紹介いただいた。『小説 君の名は。』の隣、〈出版めも〉「作家たちの空襲」
……3ページにわたる神戸の戦災焼失区域図に、作家名や当時の年齢を落とし込み、「その時」を誌上に再現。作品の抜粋や解説も付く。野坂については2000年に神戸で行った講演も再録。遠い記憶をたどる言葉の克明さが戦争の残酷さを物語っている。/興味深いのは「空襲下の詩人と少年工」と題された季村敏夫の一文。詩人杉山平一と高校教師岡本忍の奇縁を伝える。(後略)》
 ありがとうございます。
 
『KOBE C 情報』(同編集室、Cは「CULTURE」)12月号が神戸文学館開館10周年記念企画展〈横溝正史~金田一耕助の神戸を探偵する〉を紹介。公共施設や駅で配布。
 

(平野)
 

2016年11月15日火曜日

谷崎万華鏡


 『谷崎万華鏡 谷崎潤一郎マンガアンソロジー』 
中央公論新社 1000円+税

 中央公論新社は昨年から谷崎潤一郎没後50年生誕130年を記念のイベントや出版を行っている。同社も創業130周年。
 本書は同社WEBサイトで11人が発表した谷崎作品をまとめる。


 谷崎(18861965)は日本近代文学を代表する文豪。全集(同社)の宣伝文句には「流麗な文章が生み出す、豪奢にして繊細な作品世界――」とある。幻想的で耽美な文学世界
 でもね、実はドのつく「変態! 助平!」。SM、フェチ、人形愛に、ほにゃらら……。私生活も波瀾万丈。
 

谷崎ガールズ  久世番
痴人の愛  今日マチ子
陰翳礼讃  高野文子
瘋癲老人日記  しりあがり寿
台所太平記  山口晃
 他、古谷兎丸、西村ツチカ、近藤聡乃、山田参助、中村明日美子、榎本俊二。
 原作も読みたい。

(平野)
言うて詮無いことながら、上村一夫で。