2014年1月20日月曜日

月刊神戸読書アラカルテ(5)


 【海】史(10)-5

 『月刊神戸 読書アラカルテ』(5

「つつみたかひこ」(その1

 従業員つつみ、「月刊」第5号で、“Ce Vice impuniL’ érotisme” エロティシズム――この罰せられざる悪癖――山本芳樹「わが密室を彩る画家たち」』、寄稿。

 山本は在野の美術研究家。『わが密室を彩る画家たち』は、ギュスターヴ・モロー、グスタフ・クリムト、フランツ・フォン・バイロス、エゴン・シーレらエロス幻想の画家”16人の作品を解説する。

 つつみは、楽しく読んだが、エロティシズムに対する「信仰に近い肯定の意識」に違和感を覚えると、感じたことを恐れずに書く。

「エロティシズムとは、それ自体は無味乾燥たるものである」

 それでも、山本の「確乎とした信念」を評価する。

「氏がイノセント(無垢)な人である事の証左」

 


 【海】史 番外(3

 山本芳樹 『エロス幻想 わが密室を彩る画家たち』  自費出版

昭和54年(19794月初版、私が持っているのは「昭和57年再版」。コーべブックスで買った。

「はじめに」 より

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 女体のなかにひそむ神聖と魔性のエロスに魅せられた私は、それらを表現する文学や美術の世界に限りない愉しみを見い出すようになりました。とくにエロティックで幻想的な絵画、わたし流のエロス幻想の画家たちは、私の最も敬愛する人びとです。……
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目次

魔性のエロスの神聖  ギュスターヴ・モロー

背徳的淫楽と毒性の女  フェリシアン・ロップス

愛と死と快楽のアラベスク  グスタフ・クリムト

ロココの耽美と好色美学  フランツ・フォン・バイロス

自虐の刻線と禁欲的エロス  エゴン・シーレ

白夜を彷徨う恥毛の裸女  ポール・デルヴォー

他、ハンス・ベルメール、フェリックス・ラビッス、レオノール・フィニー、ピエール・イブ・トレモア、パウル・ヴンダーリッヒ、エルンスト・フックス、トミ・アンゲラー、HR・ギーガー、レイモン・ベルトラン、ジル・ランボー。

 1979年、神戸の奢灞都館刊『バイロス画集』が神奈川県警に猥褻図画で摘発され、発行者・広政かほる、編集・翻訳の生田耕作とともに、資料提供者・山本も取り調べを受けた。事件は一年後「起訴猶予」となったが、山本は発売直前だった本書の販売を遅らせた。

(平野)