■ 安野光雅 『空想工房の絵本』 山川出版社 1900円+税
雑誌『数理科学』(サイエンス社)の表紙のために描いた絵。1969年から80年まで担当、各号の特集に合わせて描いた。どの絵にも“仕掛け”がほどこされているし、“意味”が隠されている。安野が解説をしてくれるが、本人でもわからなくなっているものがある。
「謎の美女」(74年9月号)の特集は“心理”。
「困ったことに、この美人はなぜかいたかさっぱりわからないのです。(略)もうしわけないことです。」
安野光雅美術館の人が絵の秘密を発見してくれた。
同じ絵(砂時計)を描いてしまって、「はずかしい」とか、「何もおもしろくありません。締め切りが来たので、あきらめました」(研ぎ屋)、「このアイデアは未完成……」(ピラミッド)など正直に語る。また、お子さんが「おもしろ半分にかいていたものを、つかわせてもらいました」という絵(球体)もある。
わたしが気になったのは「ロングドレス」(69年5月号 近代数学入門)。美女が自分の姿をかき込んだドレスを着ている絵。
「合わせ鏡のようになるのではないか、とおもってかきましたが、そんなにうまくはいきませんでした。ドレスのふしぎさよりも豊満な胸に、目が行く人は、すぐ精神科に行くほうがいいと言う意味もあります。」
わあ、やっぱりワテは頭がおかしい!
絵をかく着想のもとは「空想」という、言ってしまえばなんの変哲もない、頼りない話に尽きることになりますが。
(平野)
神戸新聞に「海文堂“復活”神戸市が検討」のニュースが載りましたが、行政がどうのこうのというのは、かなり違和感あります。
http://hisamoto-kizo.com/blog/?p=2112
ネットでいろいろご意見が集まっていますが、とくに私は申すことありません。超個人的には“文ちゃん”の「遠隔地からの応援」がうれしい!