2016年5月14日土曜日

これからの本屋


   北田博充 『これからの本屋 between reader and bookseller』 
書肆汽水域 1200円+税

《「たとえばこの世からすべての本屋がなくなったとしても、ぼくは本屋を名乗ることをやめないと思う」
 ぼくの大好きな本屋さんはそう言いました。なるほど、この世から本屋がなくなっても本屋を名乗ることができるのか……と訳もわからず感心し、それならぼくだってそういう生き方がしたい、と「本屋見習い」のぼくは思ったのです。
 それからぼくはずっと考え続けました。「自分はどうして本屋がしたいのだろう」「本屋じゃないとできないことってなんだろう」「そもそも本屋って何者なんだろう」云々。自問自答の日々です。(後略)》

 北田さんは1984年神戸生まれ。学生時代本屋(海文堂書店)でアルバイト。卒業後、取次会社入社、本・雑貨・カフェ複合店事業に携わった。今年退職して本書を発行。書店員、独立自営の新刊本屋・古本屋店主、フリーランスで本と関わる仕事人、元書店員にインタビューしている。

目次
第1章 ていぎする  エア本屋「いか文庫」店主 海文堂書店最後の店長 「本棚住宅」で本に囲まれて暮らす人
第2章 くうそうする  北田の「夢の本屋ガイド」
第3章 きかくする  新しい本の売り方を企画している人たち
第4章 どくりつする  新刊本屋「Title」 古本屋「SUNNY BOY BOOKS」 フリーランス書店員

《本屋というのは一体何者なのだろう。結局、答えは出ないままだ。でも、今なんとなく感じているのは、「本を売ること」だけが本屋を定義するものではない、ということだ。本屋という名称は「場所」をさす言葉ではなく、「人」さす言葉なのではないだろうか。》
 
(平野)
 エア店主、フリーの書店員という仕事。こんな本との関わり方もある。
 北田さんがバイト君時代、私はまだバイト担当ではなかった。彼はもう一人のバイト君と本屋大賞選考に参加した。確かノミネート作品全点を読まなければならなかった。歴代のバイト君たちは真面目で本好きの人が多くて、ほんまに安い時給で働いてくれた。