2017年5月28日日曜日

書店員の仕事パーチー


 『書店員の仕事』出版記念会

526日、お江戸文京区民センター。私は引退者ながら執筆者のハシックレで参加。
 





 

出版社、書店員、メディアの方々、初めての方、懐かしい顔、皆さんにお会いできてよかった。

登壇しているのは、左から新泉社・安喜さん、喜久屋書店の市岡さん(シロヤギ)と丸善京都の伊藤さん、NRくららさん。あとで執筆者が順番にお話。

会場では『ほんまに』も販売。NR事務局がいつも販売協力くれている。

ン十年のおつきあいの営業さんとはお互い〈根性の暇乞〉ちゃう〈今生〉を覚悟して涙の盃。でもね、GFたちとは大はしゃぎで乾杯している。切り替えが早い!

(平野)

2017年5月23日火曜日

雲遊天下 126


 『雲遊天下 126 物語――ある大阪の編集者』 
ビレッジプレス 500円+税
 
 

「ある大阪の編集者」とは、元『プレイガイドジャーナル』発行人の村元武。南陀楼綾繁が2013年にインタビューしていたが、発表の機会を逸していた。村元の著書2冊が完成したことで日の目を見る。

 村元は1943年生まれ。大阪労音で宣伝、編集、舞台監督。音楽舎で『フォークリポート』編集。1971年、失業中に『月刊プレイガイド』を引き継ぎ、新会社「プレイガイドジャーナル社」設立、『プレイガイドジャーナル』創刊。85年、ビレッジプレス設立。

《半年の失業保険の期間が切れる頃にはどうするかを決めないといけなかったんだけど、周りの先輩たちがいかにぼくに仕事を回すかということを考えてくれるわけです。(後略)》
 
 労音の先輩たちが照明や舞台監督の仕事を回してくれた。
「大きなイベントをやりながら小さな雑誌を作っていた」(南陀楼綾繁)
 最初の2年編集長、イベントスケジュールをどのように見せるか苦心した。

《この種の雑誌が待たれていたという実感ありましたね。ミュージシャン、主催者、劇団、ジス映画上映者ら、そして読者も含めて、毎日のように事務所にやってきてくれて、その出会いに元気づけられました。それで、読者は常に編集部に参加するわけです。》

 配本や取材を手伝ってもらう。相手も喜んで楽しんで参加する。

村元の著書、『プレイガイドジャーナルへの道 19681973 労音フォークリポートプレイガイドジャーナル』(2016年)、『プレイガイドジャーナルよ 19711985』(2017年)東方出版刊。
(平野) 2冊目、まだ。版元様、申し訳ござらん。

2017年5月21日日曜日

このくにのサッカー


 『このくにのサッカー 賀川浩対談集』 苦楽堂 1800円+税



 



賀川は92歳にして現役スポーツライター。神戸市生まれ、サッカー選手としても輝かしい経歴を持つ。2014年神戸市中央図書館(大倉山)に神戸サッカー文庫を開設。「このくにのサッカー」の「これまで」と「これから」について真剣に考えている人たちの話。

目次
第1章   戦略 岡田武史 川端三郎 桜井嘉人
第2章   戦場にて 釜本邦茂 澤穂希
第3章   育む セルジオ越後 黒田和生、加藤寛 佐々木則夫
第4章   広める 加茂建 岸本健
第5章   温故知新 石井幹子 岡野俊一郎 デットマール・クラマー

(平野)
 私はサッカーファンではない。記憶にある日本サッカーは、1964年東京オリンピックでのアルゼンチン戦勝利、次のメキシコオリンピックの銅メダル。そのあとは、〈ドーハの悲劇〉まで飛ぶ。サッカー本は読んでいないし、エラソーなことは言えん。
神戸まつりで人の多い三宮を通り過ぎて西灘ワールドエンズ・ガーデン。芸能人似(毎回しつこいと思う)の店主は芦屋のイベント出張だが、留守番さんがいて、おじさんはそれだけでハッピー。些細なことで喜ぶ。

2017年5月11日木曜日

仕事場のちょっと奥までよろしいですか?


 佐藤ジュンコ 『仕事場のちょっと奥までよろしいですか?』
 ポプラ社 1200円+税 

《日々の暮しのそばにあるものやことがつくられる、ちょっと奥のなかなか聞くことのないお話を、誠に勝手ながらみなさんを代表するような気持ちで聞いてきました。》

伝統工芸職人……こけし、花火、染物、漆塗り
クリエイター……小説、漫画、グラフィックデザイン、鳥瞰図
「場」をつくる……バー、お寺、編集
ユニークなものづくり……DIY印刷加工スタジオ、印章彫刻、ステンドグラス、建築

〈鳥瞰図絵師〉は神戸の人。実物とだいぶちがうけど、イラストなので受け入れよう。



 写真のてーしゃつは著者に会う時の正装用。
 
 自らも創作する佐藤ジュンコは取材したひとたちから学ぶ。

 仕事場取材のきっかけは、こけし工人の小笠原さん。
《歴史と伝統を守り、後世へ伝える役割を果たすひとは、昔から強いこだわりがあるのでは、と思っていましたが、その背筋のぴんとした柔軟さは少し意外で、憧れます。(中略) 遠くに感じていた手に、自分の手を伸ばしてみたら、思っていたよりずっと近くにあって、あたたかくて、ぎゅっと握り返してもらったような、そんな気持ちでいます。》

 本に関わる「クリエイター」たち。
《書店勤めを辞めて、イラストレーターとして仕事をするようになってから、ひとと、まちと、世界とこれからどう関わっていくのか、ぼんやりと考えていました。本の扉の向こうで、本作りに関わる4人の先輩たちの仕事場におじゃましてお話をうかがったことで、ささやかな決心のようなものが芽生えたようです。》

「もの」づくりではなく、「場」つくり。
……「場」として営む特定の空間としての「場所」ではなく、そのお仕事、もしくはそのかた自身が、誰かにとっての大切な意味を持つ「場」ののでは、と思うようになりました。その人と過ごした時間の余熱を持ち帰ることで、日々が明るく温かくなるような。》

「ユニーなものづくり」とは「ちょっと変わった」「唯一の」ものづくり。
《みなさん個人でものづくりをしているかたですが、決して一人で仕事をしているわけではありません。たくさんおつながりの中で、「ユニークなものづくり」を続けています。わたしもようやく最近になって、個人=一人ぼっち、ではないということがわかりました。》

(平野)
ほんまにWEB〈しろやぎくろやぎ〉更新。

2017年5月9日火曜日

暗い時代の人々


 森まゆみ 『暗い時代の人々』 亜紀書房 1700円+税

 
装丁・矢萩多聞

森が「暗い時代」と言うのは、昭和の戦争時代。「大正デモクラシー」と言われ、民衆運動労働運動が起こり左翼運動も活発だった時代から、戦争に突っ込んでいった。
《その時、人々は何を考えていたのか、どこが引き返せない岐路だったのだろうか。》
 現在の政治状況に、森は「率直に怖い、という感情を持っている」。だから、あの時代に向き合い、現在を考える。
「大正から戦前・戦中にかけて、暗い谷間の時期を時代に流されず、小さな灯火を点した人々」9人の評伝。斎藤隆夫、山川菊栄、山本宣治、竹久夢二、久津見房子、斎藤雷太郎、立野正一、古在由重、西村伊作。

第一章 斎藤隆夫 リベラルな保守主義者
第二章 山川菊栄 戦時中、鶉の卵を売って節は売らず
第三章 山本宣治 人生は短く、科学は長い
第四章 竹久夢二 アメリカで恐慌を、ベルリンでナチスの台頭を見た
第五章 久津見房子 戸惑いながら懸命に生きたミス・ソシアリスト
第六章 斎藤雷太郎と立野正一 「土曜日」の人々と京都の喫茶店フランソア
第七章 古在由重 ファシズムの嵐の中を航海した「唯物論研究」
第八章 西村伊作 終生のわがまま者にしてリベルタン

(平野)ほんまにWEB「海文堂のお道具箱」更新。

2017年5月3日水曜日

編集者の生きた空間


 高橋輝次 『編集者の生きた空間 東京・神戸の文芸史探検』
 論創社 2700円+税
 
 

 高橋は1946年生まれ、元創元社編集者。現在フリーで、古書探索・編集体験から得た文学話をまとめている。本書では〈編集者〉がテーマ。

目次
第Ⅰ部 編集部の豊穣なる空間  (砂子屋書房編輯部、「三田文学」編集部、河出書房編集部の面々など)
部 編集者の喜怒哀楽  (彌生書房社長、ある児童文学編集者、創元社編集者、中央公論社編集者など)
部 神戸文芸史探検抄  (エディション・カイエ、「航海表」、「少年」など)
部 知られざる古本との出逢い 

「あとがきに代えて」で、「印刷所や製本所の人たちの地道な働き」に着目している。本書にも「文芸と密接にかかわった印刷者たち」が数多く登場するし、野口冨士男も「印刷所を通してみる文壇史」に言及していることから、出版史を見直す新しい視点として「印刷所」を提案する。
 編集者から作家・詩人として活躍した人たちがいる一方、高橋は世に知られていない編集者たちの仕事にも光を当てている。また、出版社の外観、編集部という空間にも目を向ける。そして、神戸の文芸史も。
 本書は「古書を通して見た戦前、戦後の編集者の群像」と言える。
《今回も改めて思ったのは、古本探索の旅には限りがないな、ということである。私の場合、なぜだか分からないが、ひとつの原稿を書きおえてまもなく、それに関連する新たな文献がなおも次々に見つかってゆくという経験に恵まれている。そこに不思議なエネルギーが集中するのだろうか。(後略)》
 結果、「追記」「註」という形で原稿が追加されていく。

(平野)
『ほんまに』のこと、海文堂のことにも触れてくださっている。私が海文堂の本を書いたとき、お骨折りいただいた。
 こういう資料性の高い本には索引がほしいなあ。